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というわけで今年最後のバルコノSSです!クリスマスとか年賀企画とか何もない分、もうちょっとしっかり大本命カップルのSS書こうと思ってみました!ネコミミとしっぽなくてごめんね!
今回は、ただのバカップルです。
いつもだよとか言っちゃいやん。いつもは一応、雰囲気とか考えてるんですよー、春のやわらかい暖かさとかー、冬の寒さに出る白い息の暖かさとかー。
でも今回は考えてません!冬だけどピンク!湯気で真っ白!いっそ湯煙!みたいな。(わからん)
バルコノSS:現代パロ
タイトル:「大晦日はお蕎麦を食べよう」↓
※このお話は、現代ものっぽいパロディです。
※コノエさんは30才の作家さんです。
※バルドさんは51才の町の小さな定食屋の旦那です。
※たぶん2人はニンゲンです。
ほかほかと湯気ののぼる鍋を覗き込んだら眼鏡が真っ白に曇ってしまった。
むー、という顔でコノエは眼鏡をはずす、やっぱり湯気で目の前は真っ白だった。
「バルド、蕎麦まだかなー?」
「んー?吹きこぼれてないかー。」
「もうぎりぎりまでもわもわしてるー」
「お、よしよし、ちょっと下がってな。」
ざばああああ、と鍋の湯ごとざるに開けると台所中が真っ白だった。
「わー、あったかい。」
「おー旨そうだ。コノエ、器おくれ。」
「ん、はい。ライの分どうする?」
「ああ、来れるかわからんって言ってたなぁ、ツユ無しでおいといてやるか」
「相変わらず、休み無しだね、エリートなのに。」
「エリートってもな、まだまだ若造なんだよ男社会の30代は。」
だから、働いてなんぼーってことになってんだろう。
バルドはてきぱきと蕎麦を盛り、あげておいた天ぷらを盛り付けた。
「バルド、海苔の天ぷらはー?」
「はいは、ありますよー、コノエの分だけ2枚だ。海老も大きいのやろうなー。」
「やった、バルド優しいv」
ちゅっとバルドの頬にキスをすると、コノエは眼鏡をかけ直して両手を握り締める。
「もう、バルドがいないと俺、年越せないもんねv」
コノエはうきうきと首をかしげた。
きゃぴきゃぴvという擬音が背中に見えるぜコノエ、可愛いなあまったく。
コノエは年を重ねるにつれ、可愛らしくなっている気がする。
いや、もちろん30にもなったし、背も伸びたし大人っぽくなっているのだが。
「甘え上手だなぁ、コノエは。」
もう1匹海老食べるかー?とコノエの髪をかきまわすように撫でバルドはやに下がる。
料理の腕を上げるのは、コノエの笑顔を見るためであり、
コノエの健康を守るためでもあった。
ついでに言うと、閑静な住宅街でひっそりと小さな店をやっているのもコノエの側にいるためだ。
個人経営で従業員も雇わなければ、空いた時間に好きなことが出来る。
もともと料理人だったバルドが店を持ちたいと思っていたのは嘘じゃない、
ただそのきっかけになったのも店選びや家探しのポイントになったのも全てコノエだった。
といってもコノエ本人には言ったことがない、
もしかしたら、そろそろ気づいているかもしれない。
繁盛する時間にバルド1人できりもりするのは大変といえば大変だが、
そういうときはコノエも手伝ってくれる、
これは、夫婦らしさが実感できるのでバルドとしても楽しい。
ただ、和服美人のコノエには色っぽい視線が注がれることも多々あるので、
かなりの繁忙期以外はバルドはコノエに店に出ないように言ってある。
要するにバルドはコノエにメロメロだった。
そして、コノエもちゃんとメロメロだった。
締め切りの終わって元気な日は、バルドに断られても店に出る。
特に金曜や土曜の夕方は、ご近所のお嬢様方が結構多く集まるのだ。
コノエは、少し恋人の欲目かもしれないが、半分か3割くらいは料理ではなく
バルド狙いなんじゃないかなと思っている。
店に出て、女に間違われることもあるけれど、今はそれでいいやと思っている。
髪を少しだけ長くしているのもそのためだ。
伸ばし始めた頃に1度バルドに切らないのかと言われて、ちょっと傷ついたけれど、似合わないなら切ると答えたらバルドは長い方がいいと言ってくれた、ただ前髪が長いから邪魔なんじゃないかと思ったのだと教えてくれた。
たまに雑誌に載ったときに黄色い声のかわいい女の子のグループが来ることもある、そういうとき、コノエはこっそり階段の1段目、廊下の壁に隠れてバルドには見えない位置で聞き耳をたてている。
小説のネタを拾えることもあって、最近はネタに困ったときはそこに座り込んでいるのだが、まぁとにかく、きっかけはヤキモチだった。
コノエはかつて親友のトキノに相談したことがあった。
料理上手でヒゲの似合うシブい板前のくせに、中身はイタリア人並に愛の台詞を囁きまくるし優しくて気が利いて話上手で、キスだって上手いしもちろん床上手で家事万能、しかももうすぐ家と店持ちで、おまけに天涯孤独の独身なんて、女の子が放っておくわけないだろう!
俺なんかが一緒にいてもいいのか時々わからなくなるのだ、と。
バルドがこの家を買うとコノエに相談し、プロポーズしたすぐ後の話である。
実はコノエは、バルドのプロポーズにすぐにOKしたわけではなく、考えさせてくれ、と答えて、バルドを絶望の淵に叩き落したことがある。
そのとき、トキノがコノエを納得させてその背を押していなかったら、バルドは今頃、戦場でその命を落としていたかもしれない。
「じゃあコノエ、先に漬物と茶だけ、持っていっといてくれ。足冷えただろう、こたつ入ってな。」
「うん、了解。ありがと、バルド。」
今日のコノエはご機嫌で、やたらと可愛いなぁ、とバルドはコノエに見えないところでこれでもかと鼻の下を伸ばした。いくつになっても、恋人にかっこいいところを見せたいという男心である。
「ライの奴…来るのかねぇ」
心の中でバルドはひしひしと思った。
今日は来なくていい…明日来たら年玉奮発してやるから
どうか今夜はいいムードにさせてくれ!ライ!
30過ぎの男にお年玉やるからと頼んだところで聞いてもらえるとは思えないが…。
実はコノエは年末進行、バルドは買出しに大掃除にとなかなか忙しく、生活時間はすれ違い、やっと2人で眠れた昨夜は2人とも疲れてぐっすりだった。
なので、大晦日の今日!蕎麦を食ってひと段落したら、一緒に風呂に入りたいなぁ!とバルドは夢見ていた。まぁ、あわよくばそのまま…なんて思っているが、本番は年明けまでおいて置いてもいい。
とにかく久しぶりにちょっとピンクな空気でいちゃいちゃがしたかった!!
コノエにも伝わってるよなー、きっと。。
今日のコノエはやたらとバルドに近いところをうろうろしているし
甘えた声を出すし、
スキンシップに袖をつかんだりすりよったり、
やたら可愛いいし!な!
るんるんと鼻歌を歌いながらバルドは、特製年越し蕎麦を盆に乗せ、居間へとむかった。そしてふと、足を止める。
しまった!!年明け用にウナギ買っときゃよかった!せめてスッポン!!
…バルドのオスの煩悩は、除夜の鐘でも祓えそうに無い。