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昨夜は、小説+挿絵みたいな感じで文字いっぱいのバルコノ+アサトな夢を見ました。けど、挿絵みたいな感じでアサトがでてきたのは覚えてるんですが、あとのバルコノの内容覚えてないからネタになりません…。
悔しがってたら別のお話ができました。
若女将コノエお留守番の巻!といっても「いいじゃないですか奥さん(ハァハァ)」な話ではありません。…個人的にはそういう話も大好きです。書いてないけど。
そうそう、大河の上杉謙信役が、麗しのガッくんだとは聞いて、どんだけ耽美やねんいいのかNHK、と思ってたのです~ふと電車の吊り広告見たらば…長い濃い目の茶髪?いや黒に近いのか?で赤い炎に照らされたっぽいガッくんのお顔が…!!乱れ髪かっこええ!!!やべえ耽美だけど鎧が似合う!!
ガッくんがでてるとこだけ見たいと思いました。
バルコノSS: 新婚さんシリーズ
タイトル「こころ溶ける温度」
冬は夜が来るのが早い。
夕飯の時間になるともう真っ暗だ。
今日はバルドは藍閃の外の町まで、ゲンさんに将棋で負けたツケとして代理でおつかいに出ている。
仕方なくなんて言っていたが、腰を痛めたゲンさんを気遣ってのことだとコノエにも解っていた。
今日の客はそれほど多くないし、顔なじみの客も何人かいるのでコノエは1匹で食堂をまわしていた。祭りの夜に比べるとはるかに楽なはずだったのだが、普段バルドといるときと同じように仕事をしているのに妙に疲れた。
厨房で気合を入れて皿を洗い、山積みにしたところで気が抜けた。
乾かしてから拭いた方が楽だし…と、食器の山を置いてカウンターに入る。
ここならバルドが帰ってきてもすぐわかるし、今の時間なら客も来ない。
コノエはふーっと大きく息をはいて椅子に座ると、カウンターにひじをついた。
バルドはまだ、帰らないのかな。
ぼんやりと、窓から見える空を見上げる。
心配はしていない、バルドは強いし今日は半ば無理矢理に剣も持たせた。
長旅でも無いし、あの道筋が物騒だとも聞いたことが無い。
コノエは自分に言い聞かせる。
だから大丈夫、バルドはすぐ帰る。寂しくなんかない。
宿の一日は割りと忙しく、今までバルドはどうやってやりくりしていたのかと不思議に思うくらいだ、だがそんな中にできる、ぽっかりと空いた時間がコノエは苦手だった。
いや、もちろん休憩できる時間は嬉しい、本を読んだりうとうとしたり、バルドの仕事の手伝いも出来る。だけど、それとは少し違う、なんとなく気持ちに穴が空いた様な、そんな時間に1人でいるのが、苦手なのだ。
しかも、今日は、バルドが、いない。
ぎしりとひび割れこじ開けられる 胸の奥の傷跡
どろりと血のように流れ出るのは 孤独と罪の痛み
大丈夫だ、バルドはすぐに帰る。
用事を済ませたら、土産を買ってとんぼ帰りしてくると…バルドは言っていたじゃないか。バルドは嘘はつかない、だから、大丈夫。バルドは帰ってくる。
コノエは自分に言い聞かせる、自分の心が黒い何かに負けないように。
寂しくない、大丈夫だ。怖く、ない。
ぎゅっと胸元をつかみ、コノエは自分の心に言い聞かせる。
大丈夫だ、バルドは強い。大丈夫、バルドは無事に帰ってくる。
孤独への恐怖をはね返す それは、呪文で、暗示だ。
それでも、じわりじわりと染み出すように孤独はコノエの心に黒く広がる。
それは恐怖。
ぞくり と した。
コノエは目の前の深く高い空を見上げ、はっとする。
「あ、窓閉めないと…」
先ほど感じた寒気は、木枯らしのせいだろう。
とうの昔に日は落ちたのに、うっかりしていた。
カタンと窓を閉めると、コノエは入り口の方に足を向ける。
扉も、閉めておいたほうがいいかな…。だけど、すぐにバルドが帰るから…。
キィと軋む音をたてる扉の前で、コノエはキョロキョロと左右を見渡す。
バルドの姿は見えなかった。
浮き上がった気持ちが、しゅんと小さくなる。
ぱたり、と扉を閉めると、コノエは膝を抱えて扉のわきの椅子に腰掛ける、耳は水に濡れたかのようにうなだれ、しっぽは弾力無く床まで落ちる。
ざわざわとする通りに比べ、宿の中はバルドがいないだけでとても静かで、コノエは自分がぎゅっと小さくなって、このまま夜の影に溶けてしまうのではないかと思った。
しん…と音がするこの中で、誰にも気づかれず消えてしまいそうな…。
「たっだいまー!コノエいい子にしてたかー!」
「…!!!」
バーンと威勢よく扉が開き、バルドの声が陽気に響き渡る。
コノエは驚いて全身の毛を逆立て、バルドの方から後ずさる。
「お、なんだそこにいたのか。」
カウンターに向けた視線を、静電気にまみれた子猫のようになったコノエに移すとバルドはニカーッと笑い、無造作に荷物を放り投げると、腰をかがめてコノエの顔をのぞきこむ。
「どうした、びっくりしたか?しっぽがえらいコトになってるぞ?」
バルドは、ぐるるると喉をならして、コノエの髪に頬をすりつけると、さわさわとなだめるように、しっぽをたぐる。
「ちょ、ちょっとぼーっとしてたから、びっくりした、だけ。」
「ん?そうか。疲れたんだろう?一日留守番ご苦労さん。」
両手でコノエの顔を包み込むと、手のひら全体でコノエの髪や頬をこれでもかとなでる。
コノエは何故か泣きそうになった、瞳が熱い。
バルドの手をさえぎり、あわてて俯く。
「へ、平気だ、いつもやってる仕事だし、大丈夫。」
「んーコノエはいいこだなー、頑張り屋さんだなー。」
むぎゅ、とバルドはコノエを抱きしめ囁いた。
「遅くなってすまん、心配したか?」
「心配は…して、ない」
さっき自分に触れたバルドの指は冷たかった、だけど頬に当たるバルドの吐息が、胸に重なる体温が、コノエに染込んでくる。
ひっくと、息が上がったかと思うと涙がぽろぽろとこぼれた。
「うん、そうか。」
バルドの両腕はコノエを守るように、
その手のひらはあやすようにぽんぽんと、コノエの背中に触れていた。
温かな鼓動と同じその温度に、コノエの心が溶けていく。
「少し…寂しかった、だけ。」
「うん、そうか…すまん。」
バルドは唇で、閉じたコノエのまぶたに触れた。
あふれる涙をぬぐうように、小さく舌を動かし誘うように唇でついばんだ。
コノエが目を開けると、にこっと笑ってコノエの鼻をぺろりとなめた。
「あんまり泣くと、目ン玉溶けちまうぞ?」
「自分が泣かせたくせに…」
コノエもまた、バルドの背中に腕をまわし、その胸元に顔を埋め、頬を摺り寄せる。
バルドと離れていた時間、離れていた温もりを取り戻すかのように、染みこむ熱を感受する。
「んー…すまん。」
しゅんとうなだれて、困ったように眉根を寄せるバルドに、コノエは口付ける。
バルドの唇は、コノエの涙で濡れて、そして温かかった。
「おかえり、バルド。」
甘い声でコノエはバルドの温もりを誘う、
もちろん極上の笑顔を付けて。
もしもいつか消えるなら、
凍ろうとした心も、孤独も全部溶けてしまえばいい。
そうすれば、バルドがくれた愛しいものしか残らない。
そうすれば、俺の愛だけ残していける。