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バルコノでございます。書きたかったかけあいが書けたので満足。
今年の目標はかっこいいバルドだった!
ということを今思い出しました。
こないだ下の記事で書いたとおり
金の獣は、ヴェルグさんちの虎男バルドさんのお話です。
バルコノで、あわよくば…ラゼヴェルをちらっと、が目標。
1でラゼルにコノたんのお世話しなさいって言われてた続きのバルコノです。Hナシ。
バルコノは書きやすいのに、かっこいいバルドって難しいので今回は…かっこよくない、かも。
バルドSS (出演:バルド・コノエ)
タイトル:金の獣 2 -虎と子猫- ↓
黄金の虎が月夜を駆ける
愛しい恋人の姿めがけて
夢見るように駆け抜ける
獣の姿のバルドが降り立つのは豪華なマンションの屋上、というか庭先だ。
相変わらず無駄に豪華だよなーこの部屋、このまんま入ったら怒るかな。
着地したバルドはせめて前足に付いた血を取ろうと、ざりざりで前足をねぶる。
ぱたぱたという足音にバルドはぴこぴこと耳を揺らす。
湯上りなのだろう、ローブ一枚はおった姿で、小柄な少年が飛び出してくる。
「バルド!おかえり!」
都会のド真ん中、血まみれの虎に少年、コノエは怯えることなくとびついた。
「今日は虎なんだな。このフカフカ久しぶり~。」
血が付くぞ、と言おうとしたがグルルという声しか出せなかった。
代わりにべろりと大きな舌でコノエの顔を舐め上げる。
「わー…ぅぁ。バルド~なまぐさーい…。」
しまった。
バルドは大きな舌をたらしたまま、しょぼんと俯く。
「もー、風呂沸いてるよ、入って入って!!」
太いしっぽをぎゅっとつかまれ、流石にバルドものけぞり悲鳴をあげる。
バルドの瞳孔が、ガッと開いた。
同時に、ぐぐぐっと体が軋み、感覚が弾けたかと思うと
しゅるしゅると毛並みが消え裸の皮膚の引き締まった二つ足の体躯に戻った。
「あー、戻っちゃった…。」
「そりゃ戻るだろ…」
コノエは残念そうにバルドを見上げたが、バルドもげんなりと息を吐く。
「バルド、痛かった?ごめんね?」
手をつないで甘えるようにすりよるコノエに、怒ることの出来る男はいないだろう。
バルドはコノエの頭をぽんぽんとなでると、にかっと笑った。
「かまわんさ、風呂と服、用意しといてくれたんだろう?」
「うん!一緒に入る?」
おおっと思わず頷きかけたバルドだが、なんとかこらえコノエの背を押し部屋に入る。
「いや、遠慮しとこう。先にこれなんとかしないと、優しくしてやれそうにないからな。」
「…どうせ満月の日は我慢効かないクセに。」
風呂お借りしまーす、と手をひらひらと振り勝手知ったるなんとやらでバルドはそそくさと浴室に逃げた。
もーっと怒りながらガシガシと髪を拭くと、コノエはソファに転がった。
バルドがこの部屋に来るのは、まだ両手で数えるにはあまる程しかない。
ラゼルがいないんだから遠慮することないのにさ、ベッドの中では激しいくせに、律儀なんだかなんなんだか…。
ソファからずり落ちそうなくらい伸びをすると、コノエは部屋の主のことを考えた。
良い子で待っていろと言うくせに、ラゼルはいつもコノエにバルドをあてがうのだ。
もちろんコノエはバルドが好きだ。
バルドは優しくて暖かくて2人きりの時間はとても居心地がいい、虎の毛並みだって綺麗だし、身体の相性だっていいのだと思う。
だけど、コノエはラゼルのものだ。
俺がバルドに抱かれても、どんどんバルドを好きになっても、ラゼルは怒らないんだろうか?
ラゼルは何を考えてるんだろう、といつも思う。
答えなんて、出た例は無いのだけれど。
ドライヤーを探して、コノエは浴室へと向かう。
バルドが血まみれで帰ってくるのなら、泡のお風呂にしてあげればよかった。
やっぱり髪くらい手伝ってあげた方がいいよな。
ラゼルがすることには全て意味があるはずだから、バルドとの時間を重ねるたびにコノエは幸せで満たされながらも不安になる。
それでも、同じ獣の匂いを持つバルドを突き放すことなんて出来なかった。
出会った時から、そう母以外の猫魔に出会ったことなんてなかったから(もっともバルドは猫より大きな虎だけど)、コノエはバルドを得がたい同胞のように感じていた。
「バルド、洗ったげる!」
勢いよく風呂場に飛び込むと広いバスタブの中にバルドがしぶきをたてて沈んだ。
「うわっお前入ったとこだろう。」
「あ、もう洗ってる。」
石鹸の匂いしかしないや、とコノエは残念そうに鼻を動かす。
「なんだ、待ちきれなかったのか?」
バスタブのへりに片腕をつき顎を乗せて、やれやれ、とバルドは笑い、コノエに向かって手を伸ばした。
「のぼせてもいいなら、ここでお相手しようか?子猫ちゃん。」
ウィンク付のお誘いにコノエは破顔一笑。
顔をくしゃっと崩したかと思うと舌を出して答えた。
「えろ親父。」
「親父は余計だ。」
「じゃぁえろ虎?」
「おうよ。」
「ばーかっ」
あはははっと鈴が鳴るような笑い声を残してコノエは扉を閉めた。
残念…とさほど悔しがる風でもなくつぶやくとバルドはぶくぶくと顔の半分まで湯船に沈めた。
先ほどまで、血の香りに高揚した気分が嘘のようだった。
石鹸と子供のようなコノエの仕草にかなり毒気を抜かれたようだ。
いつもなら、コノエの香りに酔って食らいつくこともあるのに…もしかしたら、ラゼルの家の事だし石鹸に何か仕掛けでもあるのかもしれない。
まぁ、いいさ。
ここにいるうちは、俺もコノエも囚われ人だ。
大きく伸びをして、垂れる前髪をぬぐいながらバルドは深く息を吐いた。
黄金の虎は夢を見る
愛しい恋人その背に乗せて
千里万里を駆けてゆく
夢見て駆けるその先に
黄金の虎は何を見る